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読書感想「人生の勝算」

人生の勝算 (幻冬舎文庫)

メモの魔力は読んだのですが、私には全く響きませんでした。どうかなーと思ったのですが、この本は、私の知らない切り口で語られる本でした。

本書は現在手がけているビジネス「SHOWROOM」に行き着くまでの筆者の人生体験が語られています。

さらっと凄いことを言うなあと印象です。

両親を亡くし親戚に引き取られて弾き語りで稼ごうと白金で客の心を掴む術を知り、投資会社に入社して誰よりも早く出社して遅く退社、ニューヨーク支社では誰よりも稼ぎ、結局チームは自分だけになった、と。

まあ、凄いです。

が、これが普通に語られると、私の人間のどす黒い部分があるので、はいはい、凄いですよ、自分には出来ませんよ、みたいな僻みの感情が湧き上がるのです。

それをさらっと語るので、いらん感情が湧き上がることがなく、そういうことがあったんだーと感じましたね。

その「さらっと」というのはどこから来ているのか? SHOWROOMの配信者はトップタレントのような偶像からどことなく等身大を感じさせる語り口から出ていると感じました。

こうあるべきなんだ!みたいな説教じみたところは一切ありません。

スナック

弾き語りで客の心を掴んだ頃から、モノ(演奏)対ヒトではなく、ヒト対ヒトという絆やコミュニティの重要さを知り、それをビジネスとして昇華させたのがSHOWROOMだというのです。

引き合いに出しているのがスナックです。

私、スナックって行ったことないのですが、スナックは最低限の乾き物と薄いお酒を出せればよく、あとはママの人となりで成立する。

損益分岐点は低い。ママは別に完璧な人である必要はなく、隙がある人でいい。

常連客はただの客ではなく、その余白を埋める。とあるスナックでは、ママが酒を飲んで酔ってしまったから、代わりに皿を洗ってしまうなんてことが起きたりするそうです。

投資会社

投資会社での話も、他では、聞いたことがないよなあと。

確かに筆者は、誰よりも早く出社し、遅く退社というのはあります。

宇多川さんという上司から何を学んだかというと、人に好かれること、だそうです。

実際に、宇多川さんは周囲の人から好かれていたそうです。

人を好かれるには人を好きにならなければならない。

もちろん筆者にも苦手な人はいます。そういうときは、好きと100回、心の中で唱えて電話をかけていたそうです。

SHOWROOM

親戚の死をきっかけに、キャリアを考え直し、DeNAの創業者の誘いで、DeNAの新規事業としてSHOWROOMを始めることになります。

朝まで働き詰めで、ベータ版を動かしたものの、全然サービスが動かない。

サービスが動いてもギフトが贈られない。

いつまで続けるのかとDeNA経営陣に言われる状況。

そこでアイドルに特化させていき、軌道に乗せていくのです。

あれだけのエネルギーで働いていた筆者でも、企業にはそうした挫折や苦難しています。

私は起業を語るような人間ではないですが、起業って難しいし、本書で言う胆力だよなあと。

今の会社ってアイデアだ、アイデアを出せと言ってきます。

新しいビジネスを展開して成長して行かなければならない、それはわかりますけど、今の会社でやっているアイデア出しを見ていると、ただ漠然とした夢を語っているだけで、ビジネスになりそうな気配がしません。

最終的にそのアイデアを本気でやる気があるのかだと思ってます。

なので、そのアイデアを出せ活動に閉口してしまっています。

本書で南場氏とのやりとりが出ますが、同じようなビジネスは100人くらい考えられる。そのビジネスに対して、自分を信用してもらってお金を出してもらえるか。

出してもらったお金で、ビジネスを何がなんでもやり切ることができるか。

ビジネスにまだ見ぬビジョンを見出し、それを信じ、それを他人に信じ込ませて人を動かせるか。進撃の巨人で「一流の詐欺師のように体のいい方便を並べなくてはならない」というエルヴィン・スミスの台詞がありますが、まさしく、それです。

最終的にはそこ、南場氏の言う、executionであり、胆力だと思います。