作品のバックグラウンドにある作家の人生について知ってみたいなと思い、この本を手に取ってみました。
日本だと、村上春樹、夏目漱石、川端康成、松尾芭蕉が紹介されています。
中でも夏目漱石は固いです。イギリス文学に触れたのち、帰国、教師、朝日新聞の記者を経験しながら、作品を手がけたと。
これと対照的なのがフィッツジェラルドでしょう。プレイボーイとして人々との交流を楽しみながらも、作品はしっかり書き上げる。
彼の作品は自分が経験したアメリカンドリームであり、作品によりお金を得るものの、贅沢な暮らしにより、お金がなくなってしまう。
結果、彼はアメリカンドリームは夢であり、夢を手にしたところで、それは夢であったと気づくといった紹介のされ方をしています。
ミゲル・デ・セルバンテス
作家に才能あれど、自分が経験したことや国の情勢がベースです。
文学は、力であり、抑圧された現実を訴え、そうした立場の人々に寄り添い、解放する手段であったことが本書を通じて痛感します。
それでも小説は楽しくあって欲しい。
そうした中で、私が秀逸だなと思うのがセルバンテスです。
彼は、戦争により、負傷しながらも英雄となるものの、奴隷になるという経験もしています。
そんな経験をした彼は、戦争に敗れて低迷していくスペイン国家を風刺しながらも、中世のパロディとして滑稽本と呼ばれるコメディであるドン・キホーテを生み出しています。
ウラジミール・ナボコフ
本書には、ちょっとしたコラムもあります。
ウラジミール・ナボコフはインデックスカードを使って小説を書いていたそうです。