この本を読んで、構想から開発まで7年かかるのかと感嘆しました。
そして、ディレクターの橋野桂さんの仕事ぶり。
作品のディレクションのみならず、スタッフの育成まで考えられたマネジメント。キャサリンのリメイクを作ることでスタッフを遊ばせないように、リーダーの育成を行なってメタファー:リファンタジオの下地を作られています。
作品が出来上がって行く中でも、スタッフが作成したデータが無駄にならないよう、また遊ばせないようにと配慮しながら動かしていきます。
- 最初に決めないといけないのが外連味。デスノートを例に出して、ノートに名前を書くだけで人が死んでしまうような、インパクトがある人が惹かれる展開。それを決めるべきだと。
企画の柱は最低3つ。
今回の場合は、中世ファンタジーで、旅をテーマにして、そのなかで自分の考えが変わるような、一歩踏み出すような物語を目指すなかで、たとえばスウィンギング・ロンドンみたいなポップさを打ち出した。反骨精神というか、自分らしく生きたいという気持ちを。
言われてみれば、メタファー:リファンタジオってファンタジーっぽい服かというと中世の服装ではないんですよね。1960年代の服装なのにファンタジーやっている、これってなんかすごいことだな、と。
テーマが不安ということもあって、メニュー画面のカーソルが落ち着かなかったり、メッセージウインドウもノイズが入っているのも、不安をイメージしたものなんだなと理解しました。
一通り遊べるようになったら完成じゃなくてあとは調整。ペルソナからそうですが。アニメやバストアップも3Dモデルも新しい動作を加えるのは難しい。3Dもモーションの数が決まっていて、立ってるポーズ、座ってるポーズ、しゃべってるポーズ、話す途中で頭をのけぞる、その4種類くらいで演出することになるのだそうです。
- ダンジョンやバトルとうまくつながっていなかったりしたら、1本のRPGとしてのおもしろさは体感しにくい。逆に言えば、RPGは開発の終盤になってから、一気にクオリティが伸びやすいジャンル
- テンポよく無駄のない構成でひとつにつないだときに、ようやく完成する。
メタファー:リファンタジオを二周目遊んでいて、二周目ですので、何もすることもなく期日を待つというつまらないフェーズに入ってしまったことがあります。釣りをして、アイテムを漁って期日を待っていました。
逆にいうと二周目終盤まで、こうした退屈なフェーズに入らなかったということです。そうしたところを取り除くために調整を繰り返していたのだなと、本書と作品をプレイして理解しました。
とあるRPGをプレイしたら、グラフィックはよく出来ているが、遊んでみるとなんか面白くないと体験版が終わるのを待たずして、遊ぶのをやめてしまったということがあります。イベントとバトルがうまくつながっていないんでしょう。というか、そのゲームはバトルそのものが面白くなく、演出だったりパラメーターが面白くなかったんですけども。
そうしたところから、細かい繋ぎに膨大な時間をかけることでブラッシュアップしていたのでしょうね。