この人はできると期待して、入ってきた瞬間がピークで、入ってから、次第にがっかりしていく。
採用に関わると
「人を見る目ないよな」
「面接じゃわかんないっすよ」
なんてやりとりがされることがしばしばです。
本書では、
徹底したリスクマネジメントが、結果として本当に仕事ができる人の採用につながる
として、一般的にはできると思った人が入社したら、そうでもなかったというリスクについて切り込んだ本となっています。
考える力
- 会社が学生を見て、ありがたがっているものの多くが、仕事場での生産性に繋がらない
- スピード重視は、考える力(概念化能力)を犠牲にしやすい
- 受験で使う頭と、質の高い仕事をするための頭は別物
- やる気や誠実さを面接で見極めることはできない。持続性を伴ってこそ本物
- 見えやすい方に目を奪われて採用し、入社後に、見えにくい方の欠如が露呈する
- 仕事力を表現するのは、その人の行動だけ。行動は行動を予測する。
- 物事に真面目に向き合う力からこそ、慎重な発言になることもある。
- 会社での教育や研修は、社員に知識を与えることはできても、社員の仕事力は変えることはできない
- 仕事ができる人=問題解決領域で動ける人。現場で汗を流すことではない。
- 概念化は具体から概念を生み出す事実
この本書の「真面目に向き合う力からこそ、慎重な発言になることもある」という言葉が採用の決め手になったことがあります。
この人、受け答えがハキハキしてないし、慎重で、これまでの自分だとスパッと決めてくれないと困るんだけど、とNG出しそうな方でした。
ですが、お願いする業務としては細かい配慮が必要だったこと、経歴的なマッチもあり、OKとしました。
実際、依頼するときのやりとりについては手間がかかるものの、期待通りの成果を出していただいてます。
最初はもたついて不安になるものの、それは効率の良い段取りをしているのであって、そこからはスムーズな仕事ぶりなのです。
ああ、こういう結果の出し方もあるんだなと勉強させていただいています。
大人になること
考える力に続き、大事なのが「大人の意識」と本書で語られます。
人は誰しも自分が可愛いが、他者の立場に立って物事を考え行動できる心の成熟が見られる。
この相反する世界に折り合いをつけて生きていかなくてはならないのですが、このバランスが仕事力を大きく左右します。
この大人の意識がある人は、取り組みが持続的になり、集中力も高い水準で維持され、組織のために動けます。
この大人の意識は短時間では見えづらい、と。
まあ、そうだよなあと。年を取れば大人になると子供の頃から思ってましたが、大人になるとそうでもないのが現実です。
世間で言う大人ではありますが、思考回路は大人であるかというとそうではない。
何かにつけて他人のせいにはしますが、自分では何もしない、というのはしばしばです。
- 自然体の行動。人から好かれ、信頼を集める人の多くが自然体
- 対象と向き合うより、どう取り繕えばいいのか自分のことを考えている人がいる
- 自己満足を求めて動く人は、他人のことを考えない
- 仕切り役に徹している人も、支配欲や承認欲ゆえの人がいる
- 不自然な言動が目立つ人は、自己不一致
- ふわふわした抽象論や理想論ばかりを語り、泥臭い現実論を嫌う人は、汗をかくのが嫌いな格好つけの怠け者
- 自分の発言が終わるたびに達成感を滲ませる人は、ナルシスト。
- 威圧的な物言いが目立つ人は、心が弱い人の自己防衛行動
仕事はできるけど、マウントを取るのが大好きで、好かれなかった上司、いたなあと思い出しました。
考える力はあったんでしょうが、大人の意識はなかったのかなと。