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読書感想「天才シェフの絶対温度」

天才シェフの絶対温度「HAJIME」米田肇の物語 (幻冬舎文庫)

この本は試し読みしてから、即買いしました。

史上最速でミシュラン三ツ星を獲得した米田肇氏の半生を描いた本です。

もちろん、実話ですが、筆者の脚色により、ドラマチックに感じます。

まず、章タイトルの「できれば、ドアの取っ手の温度も調節したい」

これが店に入った時の印象が変わるというのが米田氏の考え。

そして、出される仔羊肉のロースト。数学の解のように仔羊肉の正しい焼き方は、一つだけ存在するのではないかと考えて、辿り着いた焼き方。

炭火、オーブン、赤外線調理器、フライパン、氷で冷やしたボウル。これらを駆使して6時間かけて焼いた。

徹底的に突き詰め、どう調理すれば、食べる人の舌の上で、どんな感動が生まれるか、これが天才シェフの絶対温度です。

そんな絶対的なシェフですが、生い立ちも独特です。

子供の頃は、「いちりゅうの料理人」になりたいという思いはあれど、喧嘩に明け暮れていた頃もあれば、数学だけを徹底的に突き詰めたり、空手を習い始めたり。

大学卒業して、サラリーマンになって、お金を貯めて調理師学校へ。

そこから料理の道がスタートします。

必死に働き、料理業界の下積みの厳しい生活。

1店目で追い込まれるも父の一言で2店目で修行するのですが、何をしたらいいのか分からないままでした。

そんな中、シェフの一言に気付かされます。

この店のことをまったく勉強していないよね。だからわからないんだよ。だいたい君はウチのメニューを見たことがある?

シェフが何をするのか、そのために何をすればいいのか、考えて、シェフの信頼を得ます。

そしてフランスへ。

なかなか、フランスで働くためのビザが下りずに苦労しますが、店や理解者の協力もあって、ビザを得て、フランスでの修行を終えます。

日本に戻って、ミシェル・ブラスの店で働いた後、独立。

独立したものの、物件選びに1年も費やすことになります。これだという物件を選んだ方がいいとアドバイスを受けたのですが、なかなかそうした物件に出会えなかったのです。

ふとした声かけで、自分の希望より広い物件を見に行って、これにしようと決めます。

自分が使えない見習いでも雇ってもらった経験から、未経験者のスタッフを集めて、開店。

しかし、スタッフも経験不足もあり、四苦八苦。

ミシェル・ブラスが料理を出すも途中で、あーでもないこうでもないとあがき続ける姿勢を見せたように、あがきつづけて三ツ星に辿り着いたんだなあと感じましたね。

米田氏は三ツ星を取ってゴールではありません。

フランス人の仲間から、ミシェル・ブラスのコピーだと言われて、根源がないと気づき、フランス料理の看板を外して、あがき続けながら自分の料理を探求し続けています。