前作?とも言える「熔ける」では、あれだけ反省して、もうカジノなんてしないような雰囲気でしたが、本書はあれから刑務所から出所して韓国で3000万の種銭で9億円儲かったなんて話をし始めます。
結局、やめられなかったんかーい!みたいな。
「熔ける」では、潔く、自分の過ちを懺悔してましたが、あのヤローが井川家を大王製紙からパージ(追い出そう)としてやがったんだみたいな話が繰り広げられます。
筆者はお金を返せる算段はありました。
それは本書の巻末で面倒を見たとつらつらと書いている父のお金です。
冒頭の懲りないカジノの話といい、他責に徹した本書の内容といい、まあ、人ってそうは反省しないものなんだな、というのが僕の感想です。
思うのが、どれほどいい戦略を描いたところで、それを徹底できるか、です。
マネーボールという本ではビリービーンが出塁率という指標に基づいて、チームを改革していきますが、彼の下でそれを学んだ人間はそれを体現できず、解任の憂き目に遭っています。
井川氏は逮捕されるまで、そうしたビジネス手腕を徹底できたでしょうが、今はそれは口にすることはできますが、自身で実行・徹底できないでしょう。
- (刑務所で)55kgまで体重が減っても腹回りの脂肪だけは残った。一度残った皮下脂肪は容易に取れない。
カジノでトータルで勝っている客はいるか
2人だけいるそう。
- 1000万持ってきて100万勝ったら、やめる。
- わずかに有利なバンカーに張り続ける。
これからわかるのは、2人だけで、せこい勝ち方をしないと勝てない。
筆者が言うようにNISA積み立てでもしておけということです。
ということは、カジノなんてやるな、と言うことなのです。
つまり、カジノで儲かるなんて、あり得ないのだな、と。
カジノで失ったお金をカジノで取り返そうなんてのがそもそもの過ちなのです。
残念ながら、それには筆者は気づいているような記述はありませんね。