僕はこういう上下の本は長すぎて、大体途中で読むのを諦めるのであまり手をつけないのですが、面白かったです。
すべての道はローマに通ずと言いますが、西洋史は古代エジプトに通ずと言ってもいいくらいでした。
古代エジプトというとピラミッド、ミイラ程度の認識でしたが、アレクサンドロス大王、カエサルとも関わりがあることを初めて知りました。
ローマのカエサルはエジプトに影響を受けたわけですから、ローマにも通じるのです。
ローマに通じるということは、それはヨーロッパ、西洋史にも影響するということ。
衰退していく王国について、現代の日本の状況にも共通する点が少なくもないと言及されたり、筆者の吉村作治さんが現代人にも通ずる形に落とし込んだ説明がまた面白く、何千年も前でも、人って変わってないものだなあと考えさせられます。
- エジプトというと、砂漠だらけというと誤解がある。ナイル川の両岸には緑豊かな田園風景がある。
- エジプトは何の目的で作られたのか、どうやって作られたのか、まだ謎。王墓説もあるが、ミイラのないピラミッドも存在する。
- 以前の王の建てた神殿を壊して、自分の名を彫り、神殿を作るような王もいた。
- アレキサンダーはエジプト人の思想に仰天した。現世以上に来世を重視する。現世と来世の両方を支配するのがファラオ。王は、世俗の権力だけでなく、聖なる権力をも合わせ持つ偉大な存在。
古代エジプト人の死生観
吉村さんが理解するのに20年かかったという難しい概念です。
一般的には肉体と魂という概念ですが、古代エジプト人は、バー(魂)、カー(聖霊)、アク(肉体)という概念があります。
死んだら、魂はあの世にいく、これは仏教も一緒であの世に行くのはバー。カー(聖霊)はこの世に残ります。
カーがあって、そこにくっつく形で肉体が存在すると古代エジプト人は考えたそうです。
人間だけでなく、椅子やコップという物の本質はなんなのか? それをカーだと古代エジプト人は考えたそうです。
これは僕の見解ですが、科学がまだ発展してない時代。人が同じ成分で、同じ人間なのに、別の形になるのか? それを形作るのが聖霊であると解釈したのでしょう。
肉体が滅びてカーが残る。
カーが落ち着くために生前の肉体に変わるミイラであり、石の彫刻を用意した、と。