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読書感想「入門 化学プラント設計―基本設計の進め方と実際」

入門 化学プラント設計―基本設計の進め方と実際

プロセスプラント

本の中ではプロセスプラントという言葉が出ますが、これは化学プラントと同意で原料から製品を作る主要設備のことを意味します。

ナンバリング(機器番号)

  • 設計基本条項の中で示される。
  • ナンバリングとは、プロセスユニットを構成する装置や機器などに記号と番号を割り当てるためのルールであり、それによってプロセスユニットの各部が容易に識別できるようになる。
  • 塔についてはCまたはT、容器についてはVまたはD、熱交換器についてはEまたはHなどの記号が付され、これらの文字記号の後にはプロセスフローに沿って数字が付けられる。
    • 2個またはそれ以上の同じ装置や機器が併設されていて、1個が常用であって、それ以外が予備の場合には、AとBのような補助的な文字がさらに併記される。ポンプの場合を例に挙げればP-1A,P-1Bとなる。

配管径の選定

設備コストと動力コストに基づく経済性の評価によって決められるが、重要なのは以下

  • 配管の腐食と摩耗を避けるための流量上の制限を考慮する
  • 気液2相流のフローパターンを予測する

一般に

  • 配管の径を小さくすれば配管自体のコストは低下するが、管路を流れる流体の圧力損失が大きくなってポンプの吐出圧力が高くなり、ポンプ自体のコストと動力コストが増加する。
  • パイプラインのような長距離配管や大口径の高圧配管は、配管そのものがプラント全体のコストに影響する

要は径が小さいとポンプのコストが上がるが、径が大きいと配管のコストが上がる。よって、トータルでの経済的コストで判断することになるようです。

  • 分離を目的とする塔には扱う流体の相の状態によって、蒸留塔および吸収塔、液液抽出塔、晶析精製塔などがある
  • 化学プラントでは蒸留塔を使用するケースが圧倒的に多い。

蒸留塔とはその名の通り、蒸留することを目的とする装置です。

蒸留塔 - Wikipedia

蒸留は沸点の異なる成分を分離・精製する操作です。二種類以上の混合液からそれぞれの成分を抽出することができます。

容器

役割は多岐に及ぶ。

  • プラント全体が安定に運転できるように液体や蒸気を溜めて、緊急停止などの異常事態が発生しても後続装置や機器に影響を及ばさないようにする
  • 気液系の気体中あるいは液液系の軽液中に飛散した液滴を分離して、有用物質のロスを極力抑える。製品の純度を高める。
  • 気液および液液分離を促進して、汚染物質の混入を抑制するとともにファン、タービン、コンプレッサーなど下流機器の腐食防止と環境汚染を回避すること。

反応器

化学反応は多種多様であり、反応に関与する相の形態も反応のメカニズムも、使用する触媒の形状も多岐に及ぶ。反応器には数多くの形式がある。

熱交換器

  • 熱の授受によって液体を加熱冷却したり、蒸発凝縮させたりする装置。
  • 化学プラントでは多管式熱交換器の使用が極めて多い。

加熱炉

以下のような用途がある

  • 原料を予熱するための加熱装置、また塔底液を蒸発させて循環するためのリボイラー
  • 脱硫装置や接触改質装置などに供給される流体を所定の反応温度に加熱する
  • 加熱管内で分解させたり反応させる場合にも使われる

ポンプ

  • 人間の身体における心臓に相当し、止まるとプラント全体が止まってしまう

計測と制御

  • プラントを適正に安全に操業するには、プラントの運転状態を測定して、それを所定の条件に一致させる操作(制御)が不可欠となる。
  • 運転状態を一致させる操作は、プロセスプラントでは配管に設けられたコントロールバルブ(調節弁)の開きを調節することによって行われる。より精密かつ効果的に制御するには調節計を使用する自動制御が有効
  • プロセス制御とは、温度、圧力、流量などの前もって設定しておいた値と比較して修正を行うこと。

フレアーシステム

異常事態が発生するとプラント系内の圧力は過度に上昇して設計圧力以上の過剰圧になる。

そのため、過剰圧を防止するための安全弁が取り付けられ、系内のガスや液を緊急かつ安全にプラント系外に移送される措置が講じられる。

その際に、プラントに含まれるガスはフレアーシステムへ放出される。液はブローダウンシステムへ放出させる。

フレアーシステムは、無毒性のガスはそのまま大気に放出するが、有毒性のガスは除害してから大気に放出する。空気より重いガスは燃焼処理されるのが普通。

機器のレイアウト

  • その搬入の方法と据付の方法が重要なので、搬入の経路とジンポール(クレーン)の位置がレイアウトの際の計画に反映される。
  • 2基以上の複数の塔が直線的に並べられる場合には隣接する塔との距離を2.5-3m程度とするのが通例。

容器

  • 塔頂受器に溜められた流体がタンクヤードに直接送られるような場合は、その受器は塔のタンクヤード側に据え付けられる
  • 容器はポンプの吸引側に置かれる場合が多いので、ポンプと容器の架台は一体化される。

熱交換器

  • リボイラーは蒸留塔に近接させ、塔底液の推進力を保持する。
  • コンデンサーは蒸留塔に隣接させ、配管の圧力損失を小さくする。
  • 多管式熱交換器はシェルカバー側をポンプなど他の装置や機器側に向けて設置する。メンテナンスの時のチューブ引き抜き空間を確保する。
  • 空冷式熱交換器は一般にパイプラック上に設置される。

加熱炉

  • 最も重視しなければならないのは安全性の確保。
    • 風の風上に設置して、仮に可燃性のガスが他の装置から漏れたとしても加熱炉に向かって、そのガスが流れてこないような配慮が重要。

ポンプ

  • 通常、パイプラックの下に据え付けられ、原則として同一平面上に設置される。
  • ポンプ同士の間隔は配管のような妨害物がなければ、人が通れる程度の空間があれば十分。