自由死が認められた日本で、自由死をしようとした母がなぜそんな行動に移ったかを知ろうとする。そんなお話です。
この本は、会社の同僚の影響で読んだ本です。
まあ、そういうきっかけがなければ読まないよね、と。
舞台は近未来と言っていいほど、高齢化やVR、自由死、貧富の差の拡大。
そうした現代の延長線上にあり、今後の日本は、そうなるかもね、みたいな舞台です。
読んでいて、ただ、つらい。つらい。しかしながら、一気に読んでしまいました。
貧しい人の世界と富める人の世界で、貧しい人側にいる主人公。
主人公は、母と同じ職場の女性に会ったり、自分の父親を探したりしていきます。
(以降はネタバレ)
で、肝心の母の本心なのですが、子供が欲しかったので非合法な方法で第三者の精子の提供を受け子を授かって、主人公を育てて、貧しさに耐え続けながらも普通であろうとしたが、もう限界だった。もう十分だと言ってくれればそうした出生の秘密などを話したかった(ドラッグして反転させてください)
というところでしょうか。
「もう十分だ」と言えるだけ、主人公は自分が人間的に成熟していれば、と後悔します。
が、正直、ぼくとしては、人間的に成熟しようがしまいがそれは言える気はしません。まあ、家族だからって何でも話せるわけもないよねってのはそうなのですが。
海外では安楽死を認められていますが、それなりに条件は厳しいらしいです。本書のような理由で自由死を選ぶ時代は来るんでしょうか。
そう思えないのですが、多様化が謳われ、価値観が変わりつつある現代ではあり得るかもしれません。