本書は沢登りに異常なこだわりと持った偏屈な社会不適合者である沢ヤの話です。
沢登りは地理的な未知、地図の空白地を行くことになります。探検家は誰も行ったことがないところに行きたがるものです。
その中でも困難な地形「ゴルジュ」というのがあり、沢の中にあって両岸を高い岩壁に囲まれた地形のことで、高度な登攀技術を要することになります。
だからこそ、沢ヤは燃えることになるわけです。ウェットスーツを着て、滝を登る、と。
日本の沢登りとタイの長期間にわたる沢登りを交互に展開していくのですが、どちらかというとタイの沢登りがメインです。
というか、それだけ読むで十分かも
面白いシーンとしては、荷造りのシーンと蛇を食うシーンかな、と。
1ヶ月以上にもなる旅となるため、それだけの食糧を計算して詰めるのです。
しかし、その計画も食糧の一部が水浸し、計画より時間がかかるなどのトラブルにより食糧を切り詰め、しまいには蛇を食うことになる、と。
一般の探検記と比べ、相棒のカメラマンである高柳氏とのやりとりが散りばめられており、彼と考えの食い違いが話としては面白くなっています。
探検家も朝はスマホでアニソンを聴き、日中の休憩時間はソーラーパネルでスマホを充電し、寝る前にスマホでゲームをする時代なのだなあと思いました。