本書はハーバー・ボッシュ法の名前の由来となったハーバーとボッシュの軌跡と化学の進歩について述べられた本です。
ハーバー・ボッシュ法は鉄を触媒として、窒素と水素を結びつけ、アンモニアを生成する方法です。
アンモニアなんて生成して、どうするんだ?
と、学校の授業で習った当時の自分の本音です。
このアンモニアがどれほど重要なのかが、冒頭で語られます。これは肥料や火薬になるのです。
そのアンモニアを効率良く生成できる方法により、この地球は多くの人間を飢えから免れることができる、と。
この生成方法を着想したハーバー、そしてそれを大きな設備で、大量生産できるようにしてきたボッシュ。
その間に二度の世界大戦があり、毒ガスの開発やガソリンの生成、一次大戦の賠償金を支払うために海水から金を取り出そうという目論見の失敗、ボッシュが築き上げた工場の爆撃。
現代はソフトウェアの時代ですが、当時は化学の時代だったと思わせるほどの科学に関するイノベーションが語られる本です。