会社の雰囲気は暗く、優秀な人材は離職し、それを補おうと人を採用するもすぐ離職していく。
人事は様々な施策を打ちますが、とても有効な手段には思えませんでした。
以前、そんな職場にいました。
私は日々、どうにかならんのこの組織、なんかおかしくないこの組織というモヤモヤを抱えていました。結果、離職することになりましたが、どうして自分が辞めたのか、はっきり分かりませんでした。
ただ、自分が在籍する組織がこんな組織になって欲しくない。そうならないように、これからは率直に発言していこうという覚悟が生まれたのでした。
この本を読むと、あーなるほどね。そういうことだったのね、うんうん、と納得できました。
必要なのはプラス感情の施策ではない
よくある人事の施策としてはプラス感情のための施策です。こうした施策を打ったところで社員は、これが欲しいわけじゃないのにという感情が生まれます。
確かに、施策を打った人事だけが活用して、内輪だけで楽しんでるようなことを目の当たりにしたことがあります。
偉い人の一存で、記念パーティーを開催したけど、社員は参加はしたくなく、挙句、理由がない限り参加義務なんて流れになったこともあります。
マイナス感情
そうではなく、マイナス感情へ対処すべきだと本書では語られています。
会社の求めるものと会社が与えられるものレベルの差がマイナス感情を発生させます
また、誰かにとってのプラスは誰かにとってのマイナスになり得ることもあります。
それは人によって感じ方が異なるからです。どのような労働価値を持っているかによって、仕事に対する様々な事象に対し、プラス感情を抱くか、マイナス感情を抱くかが変わってきます。
労働価値は世代や時代、同じ人でも結婚や出産などでも変わります。そうした前提を把握して、施策を打たないと空振ります。
マイナス感情を未然に防ぐ方法が入り口の整備です。つまり採用です。労働価値の差、ギャップの少ない人を採用すればいいのです。
多様性という言葉が言われていますが、必要な多様性と不要ではない多様性が存在します。
あー、不要な多様性か、と。以前、この業務に多様性は不要だなんてことを呟いた人がいたのを思い出しました。
必要な多様性は、スキル・経験・思考法の違いです。また労働価値のばらつきを生じさせるような多様性は不要な多様性です。
- ビジョンやパーパスなど、会社が目指す・行動指針を共有
- 共有した価値観を定期的に確認・意識付けするためのコミュニケーションをとる
ビジョン共有がうまくいっていない会社の多くが、ビジョンやパーパスを各部門の行動指針に落としきれていないという問題を抱えているといいます。
確かにそんな組織ありましたね。部門長が会社とは別の行動指針を掲げて、社員はどっち向けばいいんですか?みたいな状況。
マイナス感情をどう対処するか
まず、マイナス感情を以下の3つに整理して、分析します。
- 心身コンディション:疲労、将来への不安、病気
- 働きやすさ:業務の量、ワークライフバランス、人間関係、人事制度
- 働きがい:強み、成長、居場所感、つながり、評価
マネジメントの3要素
- 業務管理 ... 業務計画・業務指示・進捗管理
- 評価 ... 部下の評価を伝える
- 精神サポート ... 1on1やキャリアサポート
離職の全ては悪ではない
離職の全てが悪か、それはNOだと筆者は述べます。
それどころか行き過ぎた離職防止が最悪の組織を生むとします。
それがぬるま湯組織です。
ぬるま湯組織とは、消極的定着をするぶら下がり人材が多く在籍する組織です。
自分が見たぶら下がり人材というと、やりいい仕事のみをやって、難しい仕事になると自分できないんでみたいに避けてばかりの人いましたね。
まあ、自分自身、ぶら下がり人材だった頃もありました。
それはさておき、流して良い離職なのか判断する必要があるようです。
働きがいと働きやすさのバランスを取らなければ、生産性の低い組織が生まれます。
組織戦略とマーケティングは似ている
では、どのように施策を打っていくべきか。
まず、将来の幹部候補となるハイポテンシャル人材と、新卒で入ったばかりの立ち上がり人材に効果的な施策を打つべきだと筆者は述べます。
マーケティングのように、組織の中のどういった人材をターゲットに施策を打つか考えていくのです。
なので、組織戦略はマーケティングと似ていると筆者は述べます。