翻訳なのか原作なのか、まずロバート・ノイスの表記が紛らわしい。
ボブ・ノイスと言ったり、ロバート・ノイスと言ったり。どちらかに統一しようよ、と。
特に意味があって使い分けしているわけでもありません。
そんなことはさておき、まあ読み応えがある本です。これだけで土日を潰してしまいほどに。
どうしてもインテルと聞くと、全盛期の頃しか知らないのですが、創業者たちはインテルの前にフェアチャイルドセミコンダクターという半導体メーカーに所属しており、その前はショックレー半導体研究に所属していたのです。
内容としては、半導体の技術というよりも、ロバート・ノイスというカリスマ、技術責任者のゴードン・ムーア、ノイスの実務能力に対して不満を抱き、二人の創業者の下で泥臭い立ち回りをするアンディ・グローブ。この3人の物語といえます。
アンディ・グローブはノイスに対して不満を持ちつつも、ムーアに対して畏敬の念を抱き、創業するインテルに入るのもムーアについていったのです。
グローブがフェアチャイルドに入社したのもムーアが声をかけてくれたことがきっかけです。
ハンガリーを亡命して、負けん気で乗り切ってきたアンディ・グローブが唯一逆らえない存在、それがゴードン・ムーアともいえるでしょう。
グローブはノイスに不満を抱きつつも役目を全うし、上場して会社の規模が大きくなった時、ノイスが引退します。
そこでついにアンディ・グローブがトップに躍り出ることになります。
(本ではバランスが取れた3人と称していますが)私としては歪ともいえる関係だなあ、と。
しかし、グローブはインテルだからこそ、その能力を発揮できたというのはそうだと思います。
私の経験でも、この人って、会社の不満を言っていたりするけど、なんだかんだ言ってこの会社だから力を発揮できるんだろうなあと思ったことはあります。