本はよく読む方ですが、久しぶりに小説を読みました。
漫画やアニメがこれだけ溢れており、膨大に摂取している中で、活字を追うことができるか不安でした。
ビジネス書だったら、読みたいところだけ、読めば、それでも得られるものがあるでしょう。小説は、見落としが多いと頭の中で話が組み立てられないので、そうは行きません。
竈の鉄人という料理番組を舞台に繰り広げられるミステリーです。
舞台が料理の鉄人に酷似していますね。というか竈の鉄人というのは料理の鉄人の企画段階の名称で、新聞で常用漢字が使えないために料理の鉄人になったのです。
主人公の番組の演出である田中は、そのまま筆者の田中経一です。
とはいえ、本書に登場する鉄人のモデルとなった3名である、道場氏、陳氏、坂井氏の三名には許可を得ているそうです。
物語は鉄人の中で無敗を誇り続ける道場が金沢にいた頃の事件が少しずつ明らかになっていくミステリーです。
本書の内容が、どこまで本当かは分かりませんが、食材のオマール海老を空輸で運んで、それに75万といった番組の裏側が知れるのが、本書の面白いとこです。
これは料理の鉄人を演出した筆者しか書けない本であり、うーん、ずるい!
料理の鉄人の経験を生かしつつ、こういうミステリーに仕立ててしまうのは見事というべきでしょう。
また料理の鉄人のwikipediaも充実しているので本書の内容と見比べると、また面白いです。
作品の鉄人は道場は無敗の男として描かれ、他の2名の鉄人はあまり勝ててないようですが、実在の鉄人は3人とも高い勝率を誇っています。
実在の道場六三郎は、金沢の出身ですが、19歳で上京して銀座で修行をしています。そこから金沢で働いたこともありますが、西洋で働いたことはないようです。