才能なんてなくたって、努力で乗り越える
漫画では、そういう話出てきますが、本書によると残念ながら、遺伝による影響は思ったより大きいようです。
こういう考え方が今、広まらないのは、人間的の心情的な部分があります。
自由と平等が謳われる現代において、遺伝によって知能の差が出るなんて言ったら大問題です。人種差別として捉えられてしまいかねません。
とはいえ、勉強してもムダというわけではありません。
このあたりの匙加減の解釈には扱い要注意の本と言えます。(結局、私は才能+努力で半々ぐらいなものかとざっくり捉えてしまいましたが)
双生児の研究を行い、一卵性双生児と二卵性双生児を数学、美術、指紋、アルコール中毒などの観点で相関性を確認すると環境より遺伝による影響が多いという結果になったようです。
では、親が子育てを頑張らなくてもいいのかというと、それは違って(これ大事)、いわゆる子育て本にしたがって、パターン化された育て方をするのではなく、一般常識を教えながら子供の形質を見つける努力をすべき、とあります。
自然と現代社会もそれに気づいたのか、現代の教育もカリキュラム一辺倒ではなく、個性を伸ばす教育とかうたわれ始めてはいますね。
良い教師が生徒に与える影響もさほどありません。いわゆるビリギャルのようなケースはほとんどないそうです。
能力が収入の差に出るのであって、学歴はあまり関係ありません。ただ収入の差だけであって、学校によってどんな経験をしてどんな思い出を作れるかは数字では測れません。
なので学校選びが無意味というわけではありません。
ただ、現代社会は受験勉強で無理な勉強を強いて、時間と能力を浪費してしまっているのではないか。
と、まあ、遺伝による影響はあるんだけど、それだけとは言えない、となんだか、はっきりしないよなあというのが本書の印象です。
無理のない範囲で勉強し、社会で活かせる自分の素質を見つけて努力していく、といったところでしょうか。