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読書感想「下山の哲学」

下山の哲学──登るために下る

人生は登山に喩えられることがありますが、実際の登山には下山があります。

日本人初で8000mを超える14座を登頂した竹内洋岳がその下山について著したのがこの本です。

登山において下山の方が難しい、下山の方が遭難する確率は高いという話は聞いたことがあります。

では、登頂したら、半分まで来たと思えばいいのか? 1割まで来たと思えばいいのか?

違うようです。

登頂は通過点であって、それから無事帰れるまでどれくらいかかるかはわからないからです。

竹内氏も下山の際に帰り道を見失った経験もあり、それが本書で紹介されてます。

そうなったら、確実にこの道は通ったというところまで戻るそうです。

本書の中で一番驚いたのが雪溜まりに落ちたときのこと。

これで背骨を骨折し生死を彷徨う大怪我で、降りようにも6500mの高さなので下ろせない。

今のうちに家族にメッセージを遺した方がいいと言われるような状況で登山仲間の助けもあって、一命を取り留めたのです。

そこから手術して1年で登山に復帰してしまったのです。

筆者に言わせると登山は、飛んだり跳ねたりしないし、そこまで激しい運動ではないとのこと。

筆者の登山での歩き方は、音を立てずに歩く。なるべくエネルギーを使わない歩き方だそうです。

そこから、怪我による体の変化を感じながらも8000mを超える14座を登頂されてます。

とてつもない回復力ですね。

14座全て登頂したら、登山は終わりかというとそうではないようです。

中国とネパールの国境が定まっていないために、まだ登っていない、登れない未踏峰があるそうです。