別業種で働いていた頃の話なんですが、今でも忘れられない6000円のペンチの話があります。
私は20半ばで、建設現場で働いていた時のことです。
もう60過ぎた人生の大先輩が
大先輩「オレのペンチを渡すから、電線切ってくれ」
私「切れるんですか」
大先輩「切れるよ」
私「うわっ、すごい切れ味」
それなりの太い線になると、電動工具で切るのですが、大先輩のペンチで見事に切れたのでした。
大先輩「当たり前だよ。金物屋で6000円もするんだから」
私「えっ、そんな高いと儲からないじゃないですか」
建設現場は1日いくらで計算される世界。6000円なんて聞いたら、日当の何割か頭の中で算盤を叩いてしまうものです。
大先輩「馬鹿言ってんじゃないよ。変な道具を使ってた方が儲からないよ」
と語ったのでした。
結局、私はひ弱なこともあり、仕事を変えざるを得なかったのですが、この話は今でも教訓になっています。
いい仕事をしたかったら、いい道具を使え、いい仕事をしないと儲からないし、次の仕事は貰えない、と。
腕も大事ですが、道具で仕事の速度が決まってしまうことも実際目の当たりにしてきました。
電動工具を使えば一瞬で終わるのに、変に拘って手動で行って深夜まで仕事をしている人も見たこともあります。
といっても、当時の私のペンチは3000円はしてました。
6000円のペンチを探し求めたこともありましたが、結局見つかりませんでした。