サロメと宿命の女たちというサブタイトルであり、モローの描きたかった女性とはなんだったのかを知る展示となっています。
平日の昼でも5分待ちという状況。
そして、美術館の展示の中でも男性がほとんどいないくらいに女性の閲覧者が多い印象でした。
ギュズターヴ・モローの作品の中でも有名なのが「サロメ」と「出現」です。
舞踏の祝宴の褒美としてサロメは、母の命で洗礼者のヨハネの首を求めます。
そして、ヨハネを処刑し、首を手にする。
褒美として人、まして聖人の首を求めるなんて意味不明です。
とはいえ、最近の漫画などで見られる過激な描写を求めて惹きつける傾向が強まりつつあるのと同様に、こうした背徳的で過激なシーンにモローは、そして芸術愛好家は惹きつけられ、生まれたのかもしれません。
モローはサロメついての絵を何枚も書いており、その習作なども含めて今回の展示会で展示されています。
ヨハネの幻影をサロメは見るという独自の解釈で「出現」で描いています。
一般的に描かれるファム・ファタルと比べて、人に焦点を当てて描いた作品ではなく、そのシーンを描いた作品なので考えさせられる絵となっています。
その時、サロメは、どんな心境でいたのでしょうか。
そもそもサロメは、なぜヨハネの首を求めたのか。ヨハネにどういった感情を持っていたのか。
むしろモローが描きたかったのは、処刑されても現れるヨハネの神聖さなのか。
とはいえ、会場は狭くて、じっくり見る余裕はありませんでした。。。
そして、晩年に描いた一角獣の絵。
サロメでは重厚な色使いだったのに対して、一変して鮮やかな色使いに変わっています。
これが本当に描きたかったモローの女性像だったのではないかということでこの展示は終わります。